健康長寿プロジェクトチーム開発「神経再生促進剤」の国際特許公開

公開日 2006年01月30日

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 本機構の「健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト」の橋本道男医学部助教授を中心とする認知症予防・改善チームが「神経再生促進剤」を開発、平成18年8月31日、国際特許公開となった。
 本研究チームが開発した「神経再生促進剤」は、アジやサバなどの青魚の魚油の主成分であるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を用いて開発したもので、認知症などの様々な脳疾患への治療薬として期待できるものである。  最近まで、神経細胞(ニューロン)は再生することはないとされてきたが、1998年になり、記憶と学習に重要な脳の海馬においては、ニューロンが日常的に新生されているとの報告があった。 その後、新生ニューロンは神経幹細胞から分化したものであり、その細胞は成人脳の海馬のみならず脳の各所で見出されたことから、今日、神経幹細胞は、種々の脳機能に関与し、さらには、神経細胞が死滅することによりおこる神経疾患の治療、いわゆる脳の修復にも応用可能であることが明らかにされつつある。
 上記の内容をふまえ、本研究チームは、ラットや培養した神経細胞(ニューロン)にDAHを加えるなどの実験から、DHAとEPAによる神経幹細胞のニューロンへの神経新生効果を明らかにし、今回の開発となった。

【写真上:DHAを加える前、写真下:DHAを加えた後、ニューロンが再生される】
「神経再生促進剤」
 発明者
  島根大学:橋本道男、川北映輔、紫藤治
   持田製薬:原田 剛

出願人
  島根大学、持田製薬株式会社