水環境プロジェクト、テキサスA&M大学と研究交流を実施

公開日 2006年01月30日

 11月29日(水)~12月18日(月)にかけて、松本一郎教育学部助教授、宗村広昭生物資源科学部助手が、テキサスA&M大学Black land研究所をテキサス水環境プロジェクトの一環として訪問し、それぞれ研究交流を行った。
 現在、本プロジェクトは「水環境に関する総合的な研究とその応用」をテーマに、重点研究部門「汽水域の自然・環境再生研究拠点形成プロジェクト」と連携をとりながら、(1)河川統合流域管理、(2)沿岸域-河川流域の環境研究、(3)水辺の都市づくり、都市環境の研究の3つのグループで活動を行っている。
 松本助教授は、テキサス沿岸-河川流域の環境研究を目的に、昨年度訪問した際に行った、テキサス州トリニティ川の堆積物の元素組成の検討に引き続き、今回は、コロラド川での堆積物採取をBlack land研究所のDennis教授と共同で進めた。堆積物採取は800kmにわたって行われ、このとき採取された堆積物をもとに、コロラド川への人的影響や周辺河川からの希釈効果等の研究を行うとともに、今後、日本河川の実例との比較にも取り組む予定である。
 また、河川統合流域管理グループの宗村助手は、斐伊川流域での過去8年間の実際のデータを用いて、SWATモデルの運用を試みた。 今回、アジアの例を用いたこと、また流域を細分してモデルを用いたことで様々な結果が得られ、今後の斐伊川流域への取り組みのヒントを得ることとなった。 しかし、このモデルには、アジアに多く見られる水田の水利用の情報と水質データが組み込まれておらず、これらをどのように組み込むかが課題となった。
 この度の研究交流で、今後の研究課題をみつけることができると共に、水環境研究の幅を広げることができた。  

  • *SWATモデル
  •  テキサスA&M大学とBlack land研究所が開発した流域統合管理モデル。水や土という視点を通して、個々の事象にのみ注目するのではなく、流域全体の健全度を高水準に保つことに主眼を置いて管理していくというもの。 降水量・日照量・土壌データ等をこのモデルに入力することにより、対象流域の現状の再現や土地利用の変化・森林衰退などが流域に与える影響を推定することができる。