島大サイエンスカフェ「からだ作りと病気のなりやすさにおける氏と育ち」を開催しました。

公開日 2007年01月31日

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 10月20日(土)、第18回島大サイエンスカフェ「からだ作りと病気のなりやすさにおける氏(うじ)と育ち-母親のおなかの中から大住生まで-」が松江市くにびきメッセで開催され、約50名が参加した。
 講師の大谷浩医学部教授は、からだ作りにも、氏(うじ:遺伝)と育ち(環境)の両方が関係し、環境要因の中でも食べ物がとても大切であることを、出席者との質疑応答も交えながら説明した。
 動物実験では、欧米型の食餌と日本古来型の食餌を与えられた親から生まれた子供は、欧米型の食餌を与えられたほうが1型糖尿病を発症する確率が高かった。 その原因の一つとして、食餌に含まれる必須脂肪酸の摂取比率が異なっていること(n-6/n-3比:欧米食では14-15、古来日本食では3-4。n-3系は魚介類に多く含まれる)が挙げられるという。
 また、胎児期につくられる全身の臓器の予備能力「余裕」の大きさの違いが、生活習慣病の「なりやすさ」「なりにくさ」に関わると考えられ、臓器の調和的な形成過程のメカニズム解明を数理科学的に取り組んでいることを紹介した。
 この他に、食品の安全係数(ADI)の定義、発がん要因の寄与率、農薬残留に対する調理や洗浄の効果について説明した。 特に自身が農薬安全性を検討する食品安全委員会農薬専門調査会に所属していることから、日本の農作物には厳しい評価基準に基づいて農薬が使われて生産されているため安全であることを説明し、野菜の調理の仕方(水洗い、ゆでる、皮むき、揚げる、炒める)により農薬の残留を極めて低くできる事も紹介した。
 アンケートには参加者から「もっと若い人にこんな話を聞かせてあげたら良いと思いました。農薬に対する不安がかなりなくなりました」などの意見が寄せられた。