重点研究プロジェクト「地域資源循環型社会の構築」キックオフセミナーが開催されました。

公開日 2008年02月01日

joukei.JPG 8月2日(土),重点研究プロジェクト「地域資源循環型社会の構築-持続可能で活力ある地域を目指して-」のキックオフセミナーが生物資源科学部1号館で開催された。
 本プロジェクトは,今年度から始まった第2期プロジェクト「重点研究部門」の1つであり,中山間地域をはじめとして将来確実に到来する地方社会の存続危機に対処するために,地域の自立を保障する,将来的に持続可能な地域資源循環型社会の構築を目標とするものである。
 今回のセミナーは、本プロジェクトの開始を告げるもので,学内のほか,学外から2名の講師を招いて,「地域資源活用」をテーマとした講演が行われた。
 趣旨説明では,プロジェクトリーダーの野中資博教授(生物資源科学部)が,「島根県内に有する森や水,未利用資源をいかに確保して,地域を豊かにするかが課題である。これには1つの資源に限定した点の構想ではなく,領域全体の質を保障するシステムの構築といった,面の構想が必要である。」と述べた。また,確実な研究計画のもと,各グループが目標を共有して研究を行い,その成果を地域社会に還元することで,島根大学が地域再生のプラットホームとしての役割を果たせればいいと,プロジェクトへの意気込みを語った。

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 講演では,生物資源科学部の佐藤利夫教授が,「地域資源活用と研究開発マネジメント-健康食品プロジェクト成功事例に見るニーズ、エビデンス、人材の重要性-」と題して,(株)やつかに見られる水溶性植物ミネラル添加飼料による健康な魚の育成等,実証方法の事例を紹介した。この事例を基に,地域資源活用には,一般消費者と産業界の将来を見据えたニーズ・経済効果の把握・根拠(エビデンス)の提示が必要であるとし,それに不可欠な人材の養成・供給が大学や県公設試験機関・県担当者に求められるとの持論を展開した。

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 山陰合同銀行地域振興部の矢野俊人氏は,日本1位の高齢化や財政問題,希薄な基幹産業等,深刻な問題を抱える島根県の経済状況について,「日本の将来の問題を先取りした財産・試金石である」と語り,高齢者のニーズに目をつけたシルバービジネスや,緑が多い島根の特色を活かした環境ビジネス等,島根県に潜在するビジネスの可能性について示唆した。また,M&A(企業買収)や,ベンチャー支援,CSR(企業社会貢献)における森林保全活動等,地域振興のための山陰合同銀行の取組みを紹介した。
 島根県農林水産部農業経営課の長野正己氏は,島根県における企業の農業参入の現状について,県内での農業参入企業の取組み事例を紹介した。企業の農業参入は,遊休農地を活かし,農業生産と雇用の拡大に繋がることから,県は企業農業参入を積極的に支援している。また,農業参入企業のアンケート調査結果から,成果は現時点ではあまり見えないようだが,企業の将来の農業拡大志向は高く,今後はものを売るだけでなく,加工もしていきたいとの展望を述べた。

 講演後は,農業参入等に関心を持つ参加者との間で活発に質疑応答が行われた。
【写真:上から順に  セミナーの様子,矢野俊人氏 ,長野正己氏 】