イノベーション・ジャパンに出展しました。

公開日 2009年02月02日

―中村守彦教授(S-匠ナノメディシンプロジェクト),武田育郎教授・森也寸志准教授(地域資源循環型社会の構築プロジェクト)―

 9月16日~18日に東京国際フォーラムで開催された「イノベーション・ジャパン2009-大学見本市-」に,重点研究プロジェクトのメンバーである産学連携センターの中村守彦教授,生物資源科学部の武田育郎教授,森也寸志准教授が出展し,日頃の研究成果について企業関係者や研究者らと交流を深めました。

「がん診断に新たな道を拓く安全なナノ粒子蛍光標識剤」(中村守彦 教授)
 特定の細胞等を可視化する蛍光標識剤として注目されているCdSe(セレン化カドミウム)を中心とした蛍光性半導体量子ドットに比べて,酸化亜鉛は毒性が格段に低く安価であり,その構造により様々な蛍光を発することを示しました。また,学部横断的なプロジェクトにより研究を進め,大きな成果を上げたことについてもアピールしました。ブースでは,訪れた人の多くが実演による酸化亜鉛の蛍光に興味を示し,その蛍光特性などについて熱心な質問があり,臨床応用への期待の大きさを窺うことができました。

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中村守彦 教授(手前)

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総合理工 佐藤 教授(右),プロジェクト下﨑研究員(左)

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「鉄バクテリアときしつバイオマスを用いた水域からのリン回収」(武田育郎 教授)
 地球上の物質循環において,リンは水域から陸域への経路がほとんどなく,循環に乏しい元素です。また,資源としてのリンは枯渇が懸念され,我が国はほぼ全量を輸入しています。現在,自然水域からリンを資源として回 収する有効な手段がありませんが,本技術において,担体をそのままの形態でリン肥料として利用できる回収方 法を開発しました。他のリン回収技術では,特殊な薬剤を用い,回収過程ではpHなどの制御が必要ですが,本技 術は,薬剤を用いず,自然界に豊富に存在する2つのバイオマス(鉄バクテリア,木質バイオマス)を組み合わせることによってリンを回収することが特徴です。
 今回は,ポスターと担体サンプル,配布資料の展示を行いましたが,配布資料が1日目でなくなる等,多方面か ら予想を上回る関心を得ました。

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展示の様子(武田育郎 教授)

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「土壌中への選択的溶液輸送による土壌環境の修復」(森 也寸志 准教授)
 
陸域最大の炭素貯蔵庫である土壌環境の修復技術として,土壌中への薬剤や有機物の浸透を制御する技術の提案を行い,土壌は構造が不均一なため,均等な溶液浸透は極めて難しいが,浸透速度をあまり落とすことなく,かつ土壌全体へ溶液を浸透させる制御がごく弱い圧力領域で可能であることを示しました。
 本技術によって,10分の1の溶液量で従来と同等の効果が上げられること,土木工学的に非常に安価に実現できることなどをアピールし,特に環境コンサルタントの方々の関心を得ました。
 しかし,今回紹介した技術は環境保全型の技術であり,付加価値型の技術や成果物品を紹介する展示会としては,アピールの仕方に一工夫必要であるという課題も残りました。

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展示の様子(森 也寸志 准教授(左))