佐藤利夫生物資源科学部教授 日本海水学会技術賞を受賞

公開日 2006年01月30日

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 本機構の重点研究部門「汽水域の自然・環境再生研究拠点形成プロジェクト」の水環境修復技術チームのメンバーの一人である,佐藤利夫生物資源科学部教授が、このたび「平成18年度日本海水学会技術賞」を受賞した。
 日本海水学会技術賞は,塩および海水資源の利用や海洋・沿岸環境の保全に関する技術開発、発明考案、技術改良、技術指導に顕著な業績のあった者に送られるもので、佐藤教授は、研究テーマ「産業廃棄物利用藻礁コンクリートによる藻場形成に関する研究」で受賞した。
 佐藤教授は,「資源循環」をキーワードに、産業廃棄物を利用し顕著な生物易着機能・藻場形成能を有するコンクリートを開発。基礎研究から実用化まで結びつけた長年にわたる研究が高く評価され今回の受賞となった。開発したコンクリートは、火力発電所から発生する多孔質な石炭殻に、藻場に必要な栄養分である鉄分を含む鋳物廃砂、さらに低品質で商品価値はないがイオン交換能力を有する天然ゼオライトを複合配合しているため、あらゆる海域において藻類の着生・成長を図ることが可能である。
 佐藤教授は「近年、埋め立てや海岸線の人工化などに伴い、急速に減少している藻場を再生し、日本の近郊海域の資源環境(漁場等)を回復させ、将来の食料危機に備えた対応技術として普及を目指したい」と話した。
 なお、佐藤教授は、「無機材料の機能化と水環境浄化・保全への応用に関する研究」において(1)殺菌性無機イオン交換体の開発、(2)複合機能性水処理用無機イオン交換体の開発、(3)環境保全・資源循環型機能性コンクリートの開発の3つに分類される優れた業績を残したとして、平成16年度に無機マテリアル学会学術賞も受賞しているほか,平成12年度には(1)の業績が科学技術庁第59回注目発明に選定されている。