公開セミナー「第3回島根大学サイエンスデリバリー」(石見銀山PJ&景観復原PJ)を開催しました。

公開日 2006年01月30日

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 本機構が取り組む最先端の研究を地域の方々に紹介すると共に学び合う「第3回島根大学サイエンスデリバリー」が9月22日(金),大田市において開催された。
 今回は,萌芽研究部門の「石見銀山地域~島根半島の古熱水系における複合資源形成システムとたたら鉄資源」(以下,石見銀山プロジェクト)と「島根県における歴史的文化遺産の景観復原に関する学際的研究-石見銀山・出雲大社・松江を中心に-」(以下,景観復原プロジェクト)の2プロジェクトを話題として開催。 両プロジェクトとも、石見銀山に関わる研究を行っており、地元、大田市において最新の研究成果を披露した。
 はじめに、銀山の成り立ち、地質、鉱床、生成場について石見銀山プロジェクトが発表を行い、本銀山が多量の銀を産出した福石鉱床と含金銀銅鉱床である永久鉱床から成ること、これらの鉱床は今から約100万年~200万年前の火山活動による熱水によって約2000万年前にできた陥没構造の縁に生成したこと、を紹介した。 また、山陰地域の他の金属鉱床との関係、非金属鉱床(ゼオライト、粘土)との関係を解説した。
 後半の景観復原プロジェクトでは、明治時代初期作成の絵図を使用した石見銀山周辺の景観復原に関する研究成果を披露。このうち「邇摩郡荻原村耕宅地絵図」(大田市水上町荻原)を読み解くことで当時の短冊地割の様子を見出し、大森から大阪へ銀を輸送した宿場町としてこの地栄えていたことを紹介した。
 世界遺産登録を目指す石見銀山をキーワードとし、これを文理の両面から紹介する今回のセミナーは大変関心の高いものであり、今後の研究成果もまた紹介して欲しい、もっと詳しく聞きたいなどの意見が参加者から寄せられた。

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じっくり絵図を見る参加者