汽水湖底質(ヘドロ)の加熱造粒技術「高温処理腐植化法」を開発

公開日 2007年01月31日

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汽水湖の底に蓄積されているヘドロ
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高温熱処理し造粒化したヘドロ
(水洗いにより除塩が可能)

 本機構の「汽水域の自然・環境再生研究拠点形成プロジェクト」の石賀裕明総合理工学部教授を中心とする底質活用チームは、 汽水湖の底に蓄積されている堆積物、いわゆるヘドロの加熱造粒技術「高温処理腐植化法」を開発した。
 ヘドロは、粘土と有機物が混合されたもので、悪臭を放つ。また、汽水や海水で還元的環境となると硫化水素を発生し、これは生物にとっては毒性を示す。 そのため、悪玉扱いされ、その存在は環境への警笛とされてきた。しかしヘドロは、十分な窒素とリンを含んでいるため、粘性土としての性質と塩類による影響を除外することができれば有用な土壌となる。 また、重要なカーボンシンク*1と考えられる。 このような背景から、本研究チームは、ヘドロの新しい有効利用を目指し、高温熱処理造粒化による腐植の形成技術に取り組み、今回の開発にいたった。
 開発した高温処理腐植化法とは、効率よい造粒化ため地域の生産活動にともなって生じる余剰材料(石材加工破材など)や汚泥とヘドロを混合させ、これを高温熱処理するというもの。 これによってできた腐植は、水洗いにより容易に除塩ができ(特許公開2006-205096)、土壌として活用できることに加え、さらには覆砂として汽水湖に還元することも可能である。

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 この他、本研究チームは、これをさらに還元加熱することによる新製品の開発と、新たに資源エネルギーを抽出できることを見出し、研究を行っている。
 【写真下:高温処理腐植化法によりできた腐植(除塩済み)を使った淡水の水草栽培】
*1 カーボンシンク・・・二酸化炭素の吸収源、貯蔵庫。温室ガスを相殺する働きをもつ。Ex, 森林、大洋など

【汽水域の自然・環境再生研究拠点形成プロジェクト・底質活用チーム】    
 石賀 裕明(総合理工学部・教授)  
 三瓶 良和(総合理工学部・教授)  
 増永 二之(総合理工学部・准教授)