島大サイエンスカフェ「認知症の早期発見と治療」を開催しました。

公開日 2007年01月31日

071219cafe.jpg

 12月17日(月)、島大サイエンスカフェ「認知症の早期発見と治療」が、松江テルサにおいて開催され、約70名が参加した。 今回は、本学医学部神経内科のト蔵(ぼくら)浩和講師を迎え、認知症の正しい認識やその予防と治療について、理解を深めた。
 同講師は、認知症とは、「脳や身体の病気によって、記憶力や判断力、計画力などが障害されて、普段の社会生活に支障を来たした状態」であると説明し、 その中でも変性疾患の一つである「アルツハイマー型認知症」について詳しく説明した。
 アルツハイマー型認知症の進行経過は、1.正常、2.年齢相応、3.境界状態、4.軽度アルツハイマー型認知症、5.中等度アルツハイマー型認知症、6.やや高度のアルツハイマー型認知症、7.高度のアルツハイマー型認知症の7段階に分けることができる。 アルツハイマー型認知症と気付くのは5~6の段階が多いとされ、第4段階の早期発見と治療が重要となってくるため、前半では,アルツハイマー型認知症と加齢に伴う普通の物忘れ、症状の似ているせん妄やうつ病との比較を行い、早期発見のためのポイントを確認した。
 また、後半では、現在、実施されているアルツハイマー型認知症の薬物治療についても触れた。現在、保険の適応が認められている唯一の治療薬である塩酸ドネペジルは、認知症を直す薬ではなく、進行を遅らせる薬だが、服用するとしないでは、その進行状態に大きな違いがあることを説明した。 また、同講師は、現在、研究中の治療薬の中には、進行を遅らせるのではなく、進行をストップ、あるいは改善するものがあり、5年後には認知症の治療法に大きな改善が見られるのではないかとの考えを示した。
 最後には、認知症の予防方法として、日常的に頭を使うこと、青魚や野菜を多くとり、高血圧や糖尿病にならないように注意すること、1日30分程度の散歩や体操などの有酸素運動をすることも紹介され、参加者からは、大変ためになった、予防方法は是非実施していきたいとの声が聞かれた。