島大サイエンスカフェ「木の香り-その知られざるパワー-」を開催しました。

公開日 2007年01月01日

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 1月29日(火),第20回島大サイエンスカフェ「木の香り―その知られざるパワー―」が,松江市川津公民館で開催された。今回は,本学総合理工学部の加藤定信准教授を講師に,木の香り成分の正体や役割,香り成分が持つ驚くべき力や知られざる力について,理解を深めた。 会場では,心地良い香りを放つ木のサイコロが配布され,リラックスした雰囲気の中,行われた。
 木の香りとは,植物の細胞の中で酵素によって作られる生体物質テルペノイドのうちのモノテルペノイドという物質が主成分である。樹種特有の香りを放つこの物質は500種類以上にも上り,その役割は,木自身が昆虫や微生物から身を守るための防御作用や抗菌作用である。 同准教授は,ヒノキやスギなどの香りの中では食パンが120日以上もカビが発生しなかったという実験結果を紹介し,その威力を紹介した。
 また,この他,モノテルペノイドの役割として,アレロパシー作用(他の植物の成長を妨げ,自らの成長を促す),コミュニケーションシグナル(自身に害をなす昆虫を捕食する昆虫を呼び寄せる)や,テルペノイドの薬用効果(抗がん,精神安定,抗肥満など)が説明された。
 最後には,有効な使用方法がなく,廃棄されているヒノキ木粉から精油(エッセンシャルオイル)を抽出し,精油スプレーを作製した事例や,医薬品等の高付加価値付与を行うことができれば,医療分野においてもその利用性があることを披露した。
 参加者からは,木の香りに多様な効果があり非常に驚いたなどの声が聞かれた。

【写真:知られざる木のパワーに聞き入る参加者たち】