チタン酸化物系新熱電変換材料の実用化基礎研究

概要

 チタン酸化物は、毒性が少ない、安全かつ安価な材料であり、半導体的な性質を有することから機能性材料としての応用が期待されます。本プロジェクトではチタン酸化物系材料に対するホウ素ドーピングの効果に関する研究を行います。具体的には、作製方法と低温物性、電子状態などの固体物理学的な研究及び組織・結晶学的研究を組み合わせ、物性発現のメカニズムを明らかにします。これらの結果により、熱電変換材料としての応用の可能性を探ります。

研究内容・成果活用


図1 Bドープ ルチル型酸化チタンの抵抗率

チタン酸化物は半導体的な性質を持つことから、電気伝導性は酸素欠損および不純物ドーピングにより制御でき、ドーピングに関してはニオブ(Nb)が効果的であることが知られています。我々の研究グループはホウ素(B)ドーピングにより電気伝導性が制御できる可能性を実験的に見出しました(図1)。
 Bドープ酸化チタンは大きなゼーベック係数をもつことも確認しており、これらの物性は熱電変換材料としての応用に対して好ましい性質です。


本プロジェクトでは、蒸着法や焼結法などの様々なプロセスでBドープ酸化チタンを作製し(図2)、その結晶構造、電子状態と関連づけて熱電変換特性を理解することを目的として研究を行っています。本研究の材料が開発されれば、既存材料と比較して無毒性、安価、軽量、化学的安定性などを様々な利点があり,低温排熱有効利用のための熱電変換技術発展に資すると期待されます。

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放電プラズマ焼結法 焼結法によるBドープ
ルチル型酸化チタン

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放電プラズマ焼結法によるBドープ
ルチル型酸化チタン

図2 本プロジェクトで開発中の材料

 

研究者紹介

  • プロジェクトリーダー 北川 裕之 (総合理工学部・准教授)
  • 山田 容士 (総合理工学部・准教授)
  • 久保 衆伍 (総合理工学部・教授)
  • 森戸 茂一 (総合理工学部・准教授)
  • 藤原 賢二 (総合理工学部・准教授)
  • 田中 宏志 (総合理工学部・准教授)
  • 西郡 至誠 (総合科学研究支援センター・准教授)

 

連絡先

北川 裕之   TEL  0852-32-6076   E-mail  kitagawa@riko.shimane-u.ac.jp 
*迷惑メール防止のため、@を全角で表記しています。