小規模浄化槽の簡易な高度処理技術の開発

概要

 宍道湖・中海の水質保全対策の一環として、流入汚濁負荷量削減のため、下水道等汚水処理施設の普及が図られてきました。しかし残念ながら、宍道湖・中海圏において、富栄養化の原因である窒素(N)・リン(P)に対し十分な高度処理化が整備されている汚水処理施設は、宍道湖流域下水道東部浄化センターのみであり、その他、合併処理浄化槽等小規模施設のほとんどが、BOD対応型で、N,Pの処理については不十分と言わざるを得ないのが実態です。
 そこには、東部浄化センターで行われているMAP法(脱リン技術)のような高度処理は、メンテナンス等維持管理に専門的な知識や高度な技術を要するため、小規模施設には簡単に適用できないという問題点があり、このことが、小規模施設の高度処理化を困難にしています。
 下水道への接続が困難な地域では、個別処理を余儀なくされることから、高度処理を備えた小規模浄化槽の需要は、今後、高まるものと予想されます。そこで本研究では、BOD対応型の既存の浄化槽に装着可能な、低コストでメンテナンスの容易な高度処理装置(オプション型)の開発を目指しています。

研究背景



 

本研究の目的

 

 

研究内容・成果活用

以下の3つのサブテーマに分けてプロジェクトを進めます。
A.簡易脱リンシステム  
 簡易脱リンシステムの試作品を作成し、小型合併浄化槽に組み込んで性能試験を行います。性能試験の結果に基づき、適宜改良を加え、リン除去率が90%程度となるまで高度処理化を図ります。
B.簡易脱窒システム  
 簡易脱窒システムの試作品を作成し、小型合併浄化槽に組み込んで性能試験を行います。性能試験の結果に基づき、適宜改良を加え、窒素除去率が90%程度となるまで高度処理化を図ります。
C.資源としてのリンの回収技術  
 脱リン除去されたリンから資源としてのリンを回収する技術の開発を目指します。

研究成果活用

 宍道湖・中海はラムサール条約湿地に登録された日本有数の湖沼であり(H.17.11.8)、良好な状態で子孫に残すため、積極的にその水質保全に取り組むことは、地元の大学としての責務と言えます。また、本研究の成果は、宍道湖・中海のみならず、他湖沼の水質保全にも有効な技術となるものであり、島根大学から発信する意義は大きいものと考えています。  
 島根県の高度処理人口普及率(下図参照)を琵琶湖を抱える滋賀県と同レベルまで向上させることが私たちの願いであり、最終目標です。

           

 

研究者紹介(H22・H23年度)

プロジェクトリーダー: 清家 泰(総合理工学部・准教授)
共同研究者: 奥村 稔(総合理工学部・教授)

連絡先

清家 泰   TEL  0852-32-6425   E-mail  yseike@riko.shimane-u.ac.jp
*迷惑メール防止のため、@を全角で表記しています。