山陰地方強靱化を目指した自然災害の統合的研究

概要

 中山間地域や長大な海岸線を有する山陰両県は自然災害に対して脆弱です。2013年には島根県西部が2度の激甚災害(気象・洪水災害及び土砂災害)に見舞われ、国道、県道及び鉄道等のインフラが重大なダメージを受けるとともに、地域経済も大きな影響を受けました。また日本海に面する地域に多くのゼロメートル地帯は津波災害の危険性が内在しています。
 本研究は上記のような現状を踏まえ、自然災害に対する山陰地域の強靭化を目指して、気象・洪水災害、津波災害及び土砂災害を統合的に研究するものです。
 具体的には、
(1)気象・洪水災害については、作成したデータベースを基に、山陰地域における 気象災害、特に大雨災害の時間的、空間的、量的な変化についてGISによる分 析を行い、近年の特性を明らかにする。
(2)津波災害については、山陰両県の海岸地域で津波堆積物を広域的に調査し、津波 の到達範囲とその分布を高精度に把握し、津波による浸水域を見積もる。
(3)土砂災害については、特に近年顕在化してきている集中豪雨・豪雪による突発土 砂災害を対象に、その発生機構を解明する。また、将来 道路・鉄道周辺斜面の変形モニタリングシステムを構築するため、直轄国道や鉄道沿線のモニタリング設備・利用状況を調査し、抽出された課題をもとに運用モデルを検討・提示します。

研究内容

【気象・洪水災害】
 これまでに作成したデータベースに基づいて、災害の空間的・時間的分布を解明します。 大雨災害の定量評価を行い、超過洪水時の対策案を検討します。  

【地震・津波災害】
 隠岐諸島における調査 (内湾堆積物を採取)および鳥取県東部で採取した試料の解析・年代 測定(炭素14年代)を実施し、津波災害発生履歴を解明します。そして出雲大社付近のある 「震災の帯」の原因を解明します。 大田市久手町、浜田市の津波堆積物を調査し、山陰両県の津波被害危険地域の見積もりを 行い、更に地震対策を提案します。

【土砂災害】
 平成25年激甚災害をデータベース化し、それによる土砂災害の特徴を把握し、 道路・鉄道斜面のモニタリングシステムの整備・利用状況を調査します。 総合研究として、中山間地域の災害発生形態を解明します。 有効な土砂災害防止対策の検討、道路・鉄道周辺斜面変形のモニタリングシステム実現に必要な機器のスペック・設置方法などを検討し、運用モデルを提示します。また、総合研究として、中山間地域の減災手法を検討します。

 
 研究の概念図

研究者紹介(H27年度)

プロジェクトリーダー 汪 発武(総合理工学研究科・教授)

 田坂 郁夫(法文学部・教授)        酒井 哲弥(総合理工学研究科・准教授)
 入月 俊明(総合理工学研究科・教授)    石賀 裕明(総合理工学研究科・教授)
 石井 将幸(生物資源科学部・准教授)    林  広樹(総合理工学研究科・准教授) 
 丸田  誠(総合理工学研究科・教授)    松本 一郎(教育学部・教授)
 増本  清(総合理工学研究科・准教授)   志比 利秀(総合理工学研究科・助教)
 小暮 哲也(総合理工学研究科・助教)     佐藤 裕和(生物資源科学部・助教)
 呉 映昕(戦略的研究推進センター・助教)     横田 修一郎(島根大学名誉教授)
 澤田 順弘(島根大学名誉教授)

連絡先

  汪 発武    TEL 0852-32-9878  E-mail  wangfw@riko.shimane-u.ac.jp 
*迷惑メール防止のため、@を全角で表記しています。