未発病状態を判定できる生体指標の開発と島根県特産品の抗酸化性の検証

概要

 本プロジェクトは,酸化ストレスが契機となって発病に至るという考えのもと,遺伝的ならびに食餌成分由来の酸化ストレス対処能力の双方を指標として発病しない状態を分子レベルで判定する方法の確立を目指しています。
  
 

研究内容・成果活用

 なぜ分子レベルで未発病状態を判別できる方法が必要なのでしょうか。それは,未発病状態(発病直前)で,生体分子のごく微少な異常が起こり,その後の発症,発病に繋がってゆくと考えられるからなのです。生体分子の微少な異常をできるだけ早く検出することで、発病に至らせないための処置や対応(極めて初期段階の治療)が可能となるからなのです。
第一期重点研究プロジェクトの1つ,「健康長寿社会を創出するための医農工連携プロジェクト」によって,糖尿病合併症発症の候補となるラジカル種として、種々のアミノ酸、特にリジンやトリプトファンがラジカル化することを明らかにしています。
 本プロジェクトでは,この候補ラジカルに限らず,酸化ストレスを誘発するラジカルの定性・定量と発症の相互関係を細胞・組織レベルで明らかにしてゆきます。生物資源科学部の研究者は,「酸化ストレスマーカーの検索」,「ジカルボニル化合物由来ラジカルによる酸化ストレス誘発」,「脂肪細胞における酸化ストレスと細胞死」,「CoQ10による抗酸化能力」,「抗酸化物質の生合成と酸化ストレスの緩和」,「県産品由来抗酸化成分の検索と機能特性」,「抗酸化成分の構造解析と機能性の向上」を,医学部の研究者は,「酸化ストレスの先天代謝異常の病態に及ぼす影響と治療法の向上」,「メタボリック症候群の発症・進行と酸化ストレスとの関連性の解明」,「遺伝子多型と酸化ストレスに対する感受性の関連」,「加齢黄斑変性における抗酸化剤,食品による黄斑色素の変動」,「酸化ストレスの血管内皮細胞に及ぼす影響」をこのプロジェクトのテーマとして掲げ,検討を開始しています。

研究者紹介(平成23年度)

プロジェクトリーダー 澤 嘉弘 (生物資源科学部・教授)

  横田 一成(生物資源科学部・教授)    川向 誠(生物資源科学部・教授)
  石川 孝博(生物資源科学部・准教授)  板村 裕之(生物資源科学部・教授)
  尾添 嘉久(生物資源科学部・教授)   小林 伸雄(生物資源科学部・教授)
  山口 清次(医学部・教授)         橋本 道男(医学部・准教授)       
  竹下 治男(医学部・教授)         大平  明弘(医学部・教授)        
  石橋 豊(医学部・准教授)
 
平成22年度

連絡先

澤 嘉弘  TEL 0852-32-6586    E-mail  ysawa@life.shimane-u.ac.jp 
*迷惑メール防止のため、@を全角で表記しています。