S-グリーン・ライフナノ材料プロジェクト

概要

 医・理工・農連携のもと,島根大学が開発してきた「低コスト」「簡易」「実用性」,そして「安心」「安全」な技術開発を基盤とし,低炭素化社会や健康長寿社会の実現に向けたイノベーションの創出を目指すプロジェクトです。これまで島根大学が取り組んできた「S−ナノテク」,「S-匠ナノメディシン」プロジェクトを継承し,更なる発展を目指します。
 本プロジェクトは,グリーンイノベーション,ライフイノベーション,基盤技術の3つのグループから構成されます。島根大学が開発した独自のナノ材料技術をもとに超低コスト次々世代塗布型太陽電池,高性能電力貯蔵用デバイス,ナノ材料による早期診断・治療技術,食品応用技術などのグリーン・ライフイノベーションと材料・評価の基盤技術を開発し,それらを継続的に発展させる産学官連携,大学院医理工農連携プログラム,国際交流に関する学内拠点を形成します。

研究内容

 次のサブグループで研究を進めます。

A. グリーンイノベーショングループ
  A1. 次々世代低コスト太陽電池の開発:安価な酸化亜鉛ナノ粒子などを用いた低コスト第3世代太陽電池の開発を目指します。ナノ粒子塗布膜によるダイオード構造の作製,有機半導体とのハイブリッド構造,透明導電膜の製造技術,エネルギー変換技術などの研究開発を行います。
  A2. 高性能電力貯蔵用デバイスの開発:チタン酸化物系強誘電体と熱電技術で,太陽電池の自律化システムを創製します。特に,スーパーキャパシタの欠点を解決し,高価な蓄電池不要の高性能電力貯蔵用デバイスの開発を目指します。
B. ライフイノベーショングループ
  B1. ナノ粒子の医療・食品応用:Aグループで開発する独自の酸化亜鉛や新規チタン酸バリウムナノ粒子の蛍光・造影・温熱効果を用いたがんなどの非侵襲的早期診断・治療技術を開発します。
  B2. ナタデココの臨床医療応用:ナタデココや酸化亜鉛ナノ粒子をバッファに用いたマイクロ流路電気泳動による診断技術やナタデココによる歯科根管治療材などの開発を行います。
C. 基盤技術グループ
  C1. 材料の結晶学的評価:特定研究「たたら製鉄におけるナノテクノロジーの結晶学的解明」で導入した優れた結晶評価システムを用いて,新たな物性評価技術の開発に努めます。また,評価技術の開発整備により,地域の産業との協力関係や周辺産業の底上げに寄与します。
  C2.安全性評価:従来型動物実験,実験病理学的手法による安全評価システムとラマン分光を用いた生きた細胞に関する先導的な評価方法を組み合わせた安全性評価を検討します。
高性能キャパシタや温熱治療に利用できる
新規チタン酸バリウム系誘電体
(透過型電子顕微鏡写真)。
太陽電池や医療用標識剤に応用できる
酸化亜鉛ナノ粒子(脂肪細胞の
可視化への応用例)。

高分解能走査電子顕微鏡と結晶方位解析装置を駆使した材料評価(鉄鋼材料の結晶方位の分布を色で表示した)。  

研究者紹介(平成25年度)

☆プロジェクトリーダー 藤田 恭久 (総合理工学部・教授)

■グリーンイノベーショングループ
【次々世代低コスト太陽電池の開発】

廣光 一郎(総合理工学部・教授) 半田 真(総合理工学部・教授)
笹井 亮(総合理工学部・准教授) 葉  文昌(総合理工学部・准教授)
山田 容士(総合理工学部・教授) 池上 崇久(総合理工学部・准教授)
古林 寛(プロジェクト研究推進機構・研究員) 

【高性能電力貯蔵用デバイスの開発】

北川 裕之(総合理工学部・准教授) 秋重 幸邦(教育学部・教授)
塚田 真也(教育学部・助教) 劉  文鳳(戦略的研究推進センター・研究員)

■ライフイノベーショングループ
【ナノ粒子の医療・食品応用】

磯部 威(医学部・教授) 松本 暁洋(医学部・助教)
福田 誠司(医学部・准教授) 長井 篤(医学部・教授)
増田 浩次(総合理工学部・教授) 平川 正人(総合理工学部・教授)
原田 守(医学部・教授) 藤井 政俊(医学部・准教授)
吉清 恵介(生物資源科学部・助教) 秋元 美穂(医学部・助教)
栂  とも子(医学部・技術専門職員)  

【ナタデココの臨床医療応用】

竹下 治男(医学部・教授) 関根 浄治(医学部・教授)
藤原 純子(医学部・講師)  

■基盤技術グループ
【材料の結晶学的評価】

大庭 卓也(総合理工学部・教授) 森戸 茂一(総合理工学部・准教授)
林 泰輔(総合科学研究支援センター・教務職員) 吉田 俊幸(総合理工学部・助教)
舩木 修平(総合理工学研究科・助教) 橋本 英樹(戦略的研究推進センター・研究員)

【ナノ物質の安全性評価】

秋吉 英雄(生物資源科学部・准教授) 山本 達之(生物資源科学部・教授)
頓宮 美樹(総合科学研究支援センター・助教) 西村 浩二(総合科学研究支援センター・助教)

平成23年度 ■平成24年度

連絡先

   藤田 恭久  E-mail  fujita@ecs.shimane-u.ac.jp      
   *迷惑メール防止のため、@を全角で表記しています。